信号待ちで停車中、物売りの子供たちが車の周りを縫うように入ってくる。
ガム、携帯クレジット、くすんだ小さな花...だいたい一つ1000IQD(80円)。
売ってるのは皆シリア難民の子供たち。
停車中の窓ガラスに霧吹きをかけて、ワイパーで拭き取っている子供。
彼が汚れたワイパーを自分の服の裾で拭いているのを見て、たまらなくなった。
最近まで物乞いや、物売りはアルビルにはいなかったと地元の人は言う。
警察も目を光らせているので、高級ホテルやモール付近にはいない.ちょっとしたカフェやシュワルマ屋の入口付近に立っている。
私は、普段は物乞いにはお金をあげないのだけど、こっちに来てからは渡すようにしている。
今までシリアで平和に暮らしていて、物乞いなんてしたことのなかったのに、ある日を境に人から物を乞わなければ生きていけなくなった子供たち。
すすまみれの頬、差し出した小さな手、お金を受け取った時の、うつろな瞳。
小銭をあげても、私の気持ちは少しも晴れない。
でも渡す。
強く生きてほしい。いつになるかわからないけど、少しでも光が差していれば、諦めないでそこに向ってほしい。