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2011年 11月 15日
モンスターチルドレンを巧くかわせない私は、担任や支援員に保健室は体調の悪い子のために優先して欲しい旨を依頼した。ほんとは怖くて関わりたくないと思っている自分に気付いていたけど、見せないようにして。
穏やかな日常が戻り、邪魔をされることが無くなった。 私は今までの学校と同じように仕事を続けた。 保健室に誰もいなくなったお昼少し前、前の学校よりもやけに分厚い保健日誌が気になって、過去のページをめくってみた。そしたら家庭内暴力の記事の多さに鳥肌が立つ。 しかも、暴力を受けている子のほとんどが毎日保健室へやって来る子ばかりだった。あの子も・・・!この子も・・・! 痛々しい痣や傷、恐怖を溜め込んだ表情がデジカメで記録され、証言とともに貼付けられていた。 私に「新人のくせに!!」と言い放ったあの子の家庭環境も凄まじいことがわかった。子どもとは思えない刺すような目つき、虚勢を張った小さい肩を思い出す。 家に帰ったらいつも怯えて暮らしてたんだ… 教室では沢山の生徒がいて構ってもらえないから、対面で話せる保健室に来てたんだと気付いた。 校庭では乾いた笛の音が鳴り、砂を蹴る足音が続く。 悔しくて涙が出た。 虐待する親にもだけど、モンスターチルドレンを怖いと思って避けていた自分のキャパの狭さも悔しかった。 今度は目線を合わせて話を聞いてあげよう。 この学校の保健室には役割が他にもあるんだ。 そう思ったら怖くなくなった。 どーんと来いや!いくらでも構ったる! 5時間目、支援員のバリアを抜けて、モンスターチルドレンの一人が保健室に入ってきた。 「鉄棒で腰打って痛いから診て」 いつも不定愁訴の多い子だ。ぶっきらぼうにシャツをまくって近付いてくる。 腰を打ったような痕はないが、ウエストラインに不自然な傷痕が幾つかあった。煙草を押し付けられたんだろうか。 「この辺?」 傷痕に触れてみる。抵抗のない質感から古い痕だとわかった。 この子の家庭環境のに関する記載も多かった。 「どこでもいいから早くしろよ!!いてーんだよ!!」 荒々しくシャツをバタバタさせる。 「わかった。シップ貼ろうね。」 傷に気付いて欲しかったのか、ただかまって欲しかったのかはわからないけど、これがこの子のコミュニケーションの取り方なんだと思った。 腰を捻ってもよれないように念入りにテープも貼ってあげよう。 その子は首を回してじっと見ていた。そして、 「今日まで?」 と訊いてきた。 「そうよ。さみしい?」 シップに切り込みを入れながら答える。 「いや、いつもの奴の方がいい」 ...そりゃそうよね。 「でもまたどっか行くんだろ~?」 「うん。いろんな所を移動してるからね」 「へぇ~、それも大変だな。またなっ!」 やけに素直に出ていったので拍子抜けする。 両方の親指が顔を出していた靴下は、ドクロマークが散らばっていた。 あの子、新人呼ばわりしてきたあの子にもう一度会いたかったけど、最終日は欠席だった。 「○○がいないと教室が静かだ」 と担任は笑っていたけど、母親からの病院に行くとの連絡に、怪我を負わされたんじゃないだろうかと心配して再度電話をしていた。できれば本人の声を聞いて、無事を確認するまで安心できないと言っていた。家庭訪問も頻回に行っていると。 そこまでするなら親から離せばいいと思うかもしれない。 でも、小学生くらいの子供はどんなに暴力を受けても、やっぱり親が好きという子が多く、虐待も『自分が悪いから』とか『坂道で転んだの』などの返答ばかり、日誌に目立った。 学校がどんなに入り込んでも、親と子供の問題なのだ。彼らが決断しなければいつまでも解決しない。 「だから学校は支援センターと連携を取りながら、『すぐ傍で見守っているからね』という姿勢を見せ、親にも子供にも無理な時はいつでも逃げて来れる場所を示しているの」と、ある先生が話してくれた。 「もぐら叩きみたいなの...一つの家庭が解決すれば、また他の家庭の問題が出てきちゃって...でもね、ゆっくりだけど一つ一つ先生たちで協力して、見過ごさないで解決してくつもり。だから、子供たちや親たちが学校とつながってられる場所として、この学校の保健室はとっても重要な位置にあるの。大変だったけどご苦労様でした。」 この学校の保健室勤務が終了したと同時に、私の保健の先生のフリ仕事も終了した。 最後がここでよかった。また機会があればやりたいと思う。
by tamura_ikkyuu
| 2011-11-15 11:42
| 日本
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